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「空き家を持つとどんな税金がかかるのか、整理して教えてほしい」というご相談をよくいただきます。
固定資産税、空家税、相続税、売却後の所得税、登記費用…いろいろな名前が出てきて混乱している方も多いと思います。このページでは空き家に関係するお金の問題を、できるだけわかりやすく一か所にまとめました。
① 空き家を「持っている間」にかかる税金
② 空き家を「相続した」ときにかかる税金
③ 空き家を「売却した」ときにかかる税金と使える節税特例
④ 登記にかかる費用
⑤ 知っておきたい保険料の変化
不動産を所有しているだけで毎年1月1日時点の所有者に課税されます。空き家であっても例外はありません。
固定資産税の計算式
固定資産税:固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)
都市計画税:固定資産税評価額 × 0.3%(上限・市街化区域のみ)
ただし住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」(地方税法第349条の3の2)が適用されます。
・小規模住宅用地(200㎡以下):課税標準額が評価額の1/6に軽減
・一般住宅用地(200㎡超の部分):課税標準額が評価額の1/3に軽減
この特例が外れると課税標準額が最大6倍になります。特例が外れるケースは次の通りです:
・更地にした(建物を解体した)
・行政から「管理不全空家等」として勧告を受けた(2023年12月改正空家法)
・「特定空家等」として勧告を受けた
土地評価額300万円・小規模住宅用地の場合:
特例適用中:300万円 × 1/6 × 1.4% = 年間7,000円
特例解除後:300万円 × 1.4% = 年間42,000円
差額:年間35,000円の増税。10年持ち続けると35万円の差になります。
「空家税」という名称の国税は現時点では存在しませんが、2023年から一部の自治体で「住宅の活用の促進のための固定資産税特例の見直し」や独自の施策が始まっています。
現在の「空家税」に相当する動き
① 京都市の「非居住住宅利活用促進税」(2026年導入)
空き家・別荘・別邸を対象に、評価額に応じた独自の課税。最高税率0.7%。京都市が全国初の空き家に対する独自課税を実施。
② 国による固定資産税特例の見直し
管理不全空家等への勧告→住宅用地特例の解除という形で、事実上の増税措置が2023年から始まっています。
③ 今後の動向
国土交通省は空き家対策をさらに強化する方針で、固定資産税を通じた空き家への課税強化は今後も続く見込みです。
出典:京都市「非居住住宅利活用促進税」、国土交通省「空家等対策特別措置法(改正)の概要」
亡くなった方の財産(現金・不動産・有価証券など)の総額が「基礎控除額」を超えた場合に課税されます。
相続税の基礎控除(相続税法第15条)
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例:法定相続人が3人の場合
基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円
相続財産の合計が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。空き家を含む相続財産が基礎控除額を超えた場合に申告・納税が必要です。
申告期限:相続開始(亡くなった日)から10ヶ月以内(相続税法第27条)
不動産の評価額は「路線価方式」または「倍率方式」で計算します(財産評価基本通達)。固定資産税評価額とは異なる数字になることが多いです。
相続税は原則として10ヶ月以内に現金で納付します。「不動産しか財産がない」という場合、不動産を売って相続税を払わなければならないことがあります。この場合は後述の節税特例の期限にも注意が必要です。
不動産を売って利益(譲渡所得)が出た場合に課税されます。
譲渡所得の計算と税率
譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費:購入金額+購入時の諸経費(不明の場合は売却額の5%で計算する「概算取得費」を使用)
譲渡費用:仲介手数料・測量費・解体費など
税率(所得税+住民税)
・所有期間5年超(長期譲渡):約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)
・所有期間5年以内(短期譲渡):約39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%)
相続した不動産の「所有期間」は、被相続人(亡くなった方)が取得した日から計算します。親が何十年も前に取得した家であれば、相続直後に売却しても「長期譲渡」になります。
空き家に係る譲渡所得の特別控除(租税特別措置法第35条第3項)
相続した空き家を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
主な要件
・昭和56年5月31日以前に建築された建物(旧耐震基準)
・相続直前に被相続人が一人で居住していた
・相続から売却までの間、事業・貸付・居住に使用していない
・耐震リフォームまたは建物除去をした上で売却(2024年1月以降は一部緩和あり)
・売却価格が1億円以下
期限:相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却する必要があります
例)2022年3月に相続 → 2025年12月31日までに売却が必要
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(租税特別措置法第39条)
相続税を支払った方が、相続した不動産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税の一部を不動産の取得費に上乗せして計算できます。これにより譲渡所得が減り、売却時の税金を抑えられます。
期限:相続開始日の翌日から相続税申告期限(10ヶ月)の翌日以後3年以内、つまり相続開始からおよそ3年10ヶ月以内に売却する必要があります
この2つの特例(3,000万円控除・取得費加算)はどちらを使うかよく確認する必要があります。同時に使えない場合があるため、税理士への相談を推奨します。
親が何十年も前に購入した家の取得費(購入金額)がわからない場合、「売却額の5%」を取得費として申告する「概算取得費」(租税特別措置法第31条の4)を使うことになります。
例:売却額800万円の場合、概算取得費は40万円。残りの760万円が課税対象になります。実際の取得費が判明すれば課税対象が大幅に減る可能性があるため、売却前に売買契約書・通帳の記録・建築確認書類を探してみることをおすすめします。
不動産の名義変更(相続登記)や売却時の移転登記には、登録免許税と司法書士費用がかかります。
登記費用の内訳
① 相続登記(名義変更)の場合
登録免許税:固定資産税評価額 × 0.4%
例)評価額1,000万円の場合 → 登録免許税4万円
司法書士費用:6〜15万円程度(物件数・複雑さによる)
⚠️ 2024年4月から相続登記が義務化(不動産登記法第76条の2)。相続を知った日から3年以内に登記が必要。違反すると10万円以下の過料リスクあり。過去の相続は2027年3月31日までに対応が必要。
② 売却時(所有権移転登記)の場合
登録免許税:固定資産税評価額 × 2.0%(売買の場合・買主が負担するのが一般的)
例)評価額1,000万円の場合 → 登録免許税20万円
司法書士費用:5〜10万円程度
③ 抵当権抹消登記(住宅ローンが残っている場合)
登録免許税:不動産1件につき1,000円
司法書士費用:1〜3万円程度
居住用として加入していた火災保険は、人が住まなくなった時点で告知義務が発生します(保険法第4条・第28条)。告知せずに空き家のまま続けていると、火災時に「告知義務違反」として保険金が支払われないことがあります。
主要保険会社・共済の対応
・損保ジャパン:公式サイトで「空き家は引受対象外」と明記
・JA共済・こくみん共済・都道府県民共済:居住用前提のため空き家不可のケースが多い
・ネット系保険の多く:空き家は引受対象外
空き家になったことを正直に告知した上で、空き家対応の保険に切り替えるか、売却して保険自体を不要にするかのどちらかが現実的です。
空き家を売却すれば、毎年払い続けていた火災保険料(年間2〜4万円程度)が不要になります。「払っても補償されない保険料」をこれ以上払わなくて済むというのは、売却の大きなメリットの一つです。
| 項目 | 内容 | 期限・注意点 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 評価額×1.4%(住宅用地特例で最大1/6軽減) | 管理不全勧告で特例解除→最大6倍に |
| 相続税 | 基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)超の場合に課税 | 相続開始から10ヶ月以内に申告・納付 |
| 譲渡所得税 | 売却益に課税。長期(5年超)約20%・短期(5年以内)約40% | 節税特例の活用を検討すること |
| 3,000万円控除 | 旧耐震・被相続人単独居住など要件を満たした空き家の売却益から最大3,000万円控除 | 相続から3年経過する年の12月31日まで |
| 取得費加算 | 支払った相続税の一部を売却時の取得費に加算できる | 相続から3年10ヶ月以内 |
| 相続登記 | 評価額×0.4%の登録免許税+司法書士費用6〜15万円 | 相続を知った日から3年以内(義務化) |
| 火災保険 | 空き家になったら告知義務あり。無告知のまま継続すると保険金不払いリスク | 空き家になった時点で保険会社に確認 |
3,000万円特別控除も取得費加算の特例も、相続が発生した瞬間から期限が刻まれ始めます。「落ち着いてから動こう」と思っているうちに期限が切れてしまったというケースは実際に多くあります。売却を考えているなら、まず「相続からいつ経過しているか」を確認することから始めてください。
税金・費用の詳細は専門家に確認を
この記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の税額・特例の適用可否は個人の状況によって異なります。売却前に税理士・司法書士への相談をおすすめします。空家パートナーでは提携税理士・司法書士のご紹介も可能です。
愛知・岐阜の空き家、税金・費用を含めてご相談ください
多治見市・可児市・土岐市・瑞浪市・美濃加茂市・恵那市・御嵩町・八百津町・瀬戸市・春日井市・豊田市など愛知・岐阜全域対応。「税金のことが心配で動けていない」という方のご相談を歓迎しています。
滝田 謙介(空家パートナー代表)
宅地建物取引士:岐阜県知事免許(1)第5381号
(公社)岐阜県宅地建物取引協会 東濃支部
30,000件以上の空き家問題を解決してきた「空き家買取のプロ」。他社で断られた困難物件の再生にも積極的に取り組んでいます。