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「父は普通に会話できるから大丈夫だと思っていました。」
これは実際によくあるご相談です。
ところが不動産売却や生前贈与の当日、司法書士による本人確認の場面で質問に答えられず、手続きが延期になるケースがあります。
介護施設へ入所している方や認知症の診断を受けている方だけではありません。 普段は問題なく会話できる方でも、その日の体調や認知機能の状態によって判断能力の確認ができないことがあります。
本人確認というと免許証やマイナンバーカードの確認をイメージする方が多いですが、不動産登記における本人確認はそれだけではありません。
司法書士は登記申請を行う前に、 「本人が本当に売却や贈与を理解し、自分の意思で手続きを行っているか」 を確認します。
確認される内容
・氏名、生年月日、住所
・所有している不動産の内容
・売却や贈与を行う理由
・契約内容を理解しているか
・代金の金額や受取方法を把握しているか
つまり身分証明書があっても、意思能力が確認できなければ登記を進めることができません。
高齢者の場合、認知機能は日によって大きく変わることがあります。
特に次のような状況では注意が必要です。
本人確認が難しくなるケース
・認知症が進行している
・入院直後で体調が不安定
・介護施設へ入所したばかり
・薬の影響で眠気が強い
・環境変化で混乱している
・契約内容を理解できない
家族から見ると普段と変わらなくても、司法書士が法律上必要な確認を行った結果、「意思能力の確認が難しい」と判断されることがあります。
相談内容
春日井市在住の70代男性。 奥様が亡くなり一人暮らしとなった後、長男夫婦との同居を検討していました。
その前に自宅を売却しようと契約準備を進めていましたが、契約直前に体調を崩し入院。 退院後に司法書士との面談を行いました。
問題点
面談当日、本人は名前や住所は答えられました。
しかし、 「なぜ売却するのですか?」 「売却金額はいくらですか?」 という質問に対して回答が曖昧でした。
途中から話の内容も混乱し、契約内容を十分理解していると判断できない状態でした。
結果として司法書士は登記手続きを見送りました。
解決方法
主治医と相談しながら体調が安定するまで待機。
数週間後に改めて面談を実施したところ、売却理由や契約内容について明確な受け答えができました。
司法書士による本人確認も問題なく完了し、無事に売却手続きを終えることができました。
もし意思能力がないと判断された場合、不動産売却や生前贈与は進められません。
・売買契約が延期になる
・所有権移転登記ができない
・贈与契約が成立しない
・成年後見制度の利用を検討する必要がある
特に認知症が進行している場合は、成年後見人の選任が必要になるケースもあります。
ただし後見制度を利用すると、その後の不動産処分にも家庭裁判所の関与が必要になる場合があります。
そのため、 「まだ元気だから大丈夫」 と思わず、早めに準備を進めることが重要です。
介護施設への入所や認知症の進行によって、不動産売却が急に難しくなるケースは少なくありません。
特に春日井市では相続した実家や親名義の空き家についてのご相談が増えています。
こんな方は早めの確認がおすすめです
・親が介護認定を受けている
・施設入所を検討している
・認知症の診断を受けている
・生前贈与を考えている
・将来相続トラブルになりそう
本人確認ができるうちに準備しておくことで、選択肢を大きく広げることができます。
司法書士の本人確認は単なる身分証確認ではありません。
売却や贈与の内容を理解し、自分の意思で判断していることを確認する大切な手続きです。
昨日まで普通に会話できていたとしても、当日の体調や認知機能によって手続きが進まないこともあります。
親名義の不動産や相続予定の実家がある場合は、元気なうちから準備を始めることが大切です。
滝田 謙介(空家パートナー代表)
宅地建物取引士:岐阜県知事免許(1)第5381号
(公社)岐阜県宅地建物取引協会 東濃支部
30,000件以上の空き家問題を解決してきた「空き家買取のプロ」。 他社で断られた困難物件の再生にも積極的に取り組んでいます。