営業時間/9:00〜18:00
「この家は子供たちに残してやりたいんです。父が一生かけて建てたものだから」
美濃加茂市でご相談いただく際、こういう気持ちを持っている方は多いです。その気持ちは本当に自然で、大切なことだと思います。ただ、一つだけ考えてほしいことがあります。
「残された子供は、実際にどんな状況に置かれるのか」。
国土交通省が2024年に実施した最新の「令和6年空き家所有者実態調査」のデータと、実際のご相談の中で聞いた声をもとに、正直にお伝えします。
国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査(2024年11月実施)」によると、空き家の取得経緯として「相続・贈与」によるものが全体の57.9%を占めています。これは「相続によって空き家問題が生まれている」という現実を数字で示しています。
令和6年空き家所有者実態調査の主要データ
・空き家の取得経緯「相続・贈与」:57.9%(過半数が相続で発生)
・相続前に対策を講じた:23.0%のみ
・相続前に対策を講じていない:77.0%
・「相続前に対策を講じていない」空き家は、対策を講じた空き家と比べて「空き家のまま所有され続けている」割合が約1.5倍になった
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査 結果のポイント」2024年
つまり、相続前に「家をどうするか」を話し合った家族とそうでない家族では、空き家になってからの対処速度に約1.5倍の差が出ています。「残してやりたい」という気持ちはあっても、「どうするかを話し合っていない」ことが問題を生んでいます。
現在40〜50代の子供世代の多くは、すでに持ち家・マンションを持っています。美濃加茂市の実家を相続しても、住む予定がない場合は最初から「負動産」として持つことになります。
国土交通省の調査では、空き家を取得した理由が「相続・贈与のため(自らの意思ではない)」という方が多数を占めています。「もらって嬉しい資産」ではなく「もらっても困る資産」になってしまっているケースが、思った以上に多いのが現実です。
相続した瞬間から、固定資産税・管理費の支払い義務が子供に移ります。
固定資産税は「財産を取得したこと」に対してかかるのではなく、「所有していること」に対して毎年かかります。つまり「財産をもらった」のに「毎年お金を払い続けなければならない」という状況になります。
美濃加茂市の一般的な戸建て(土地100㎡・建物30坪・築40年)の場合、固定資産税・都市計画税は年間2〜5万円程度。草刈り・管理費を含めると年間10〜20万円。10年で100〜200万円が子供の財布から出ていく計算です。
美濃加茂市の実家を名古屋・愛知から管理するには、往復2〜3時間の移動が必要です。草刈り・清掃・業者手配・近所への挨拶…これらを仕事・育児で忙しい40〜50代がこなすのは容易ではありません。
特に夏の草刈りシーズン・台風シーズン・年末年始の管理確認など、タイミングが重なると「実家のために仕事を休む」という事態になることもあります。
相続した家を「やはり売ろう」と思っても、以下のプロセスが必要です:
・相続登記(名義変更)の完了
・遺産分割協議書の作成・相続人全員の署名捺印
・固定資産税評価証明書・戸籍謄本等の取得
・不動産業者の選定・査定・契約
・引き渡し・決済
これを仕事の合間にこなすのは相当な労力です。さらに相続から年数が経ってからだと、節税特例(取得費加算・3,000万円控除)がすでに期限切れになっていることもあります。
「子供に迷惑をかけたくないから、相続放棄してもらえばいい」と考える方もいます。ただし相続放棄にも重要な注意点があります。
相続放棄の4つの注意点
① 期限がある:相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申述が必要(民法第915条)。期限を過ぎると原則として放棄できない。
② プラスの財産も全部放棄しなければならない:不動産だけ放棄して現金はもらう、ということはできない。相続財産すべてを放棄することになる。
③ 次の相続人に権利が移る:子供が放棄すると、孫→ひ孫と、あるいは親・兄弟姉妹に相続権が移る。「誰も相続しない」ためには関係者全員が放棄する必要がある。
④ 2023年改正で管理義務が緩和されたが完全に解放されるわけではない:2023年12月施行の民法改正(第940条)により、放棄した相続財産の管理義務が「保存に必要な行為のみ」に緩和されたが、相続財産清算人が選任されるまでの間は一定の管理義務が残る。
「正直に言うと、実家は売ってほしかったです。住宅ローンを払いながら実家の固定資産税も払うのは厳しくて」
「管理のために帰省すると、子供の学校行事と重なることがあって、毎回心苦しかったです」
「売ってお金として残してもらえたら、教育資金や老後の備えに使えたのに、と思います」
「親の気持ちはわかるんですが、空き家の管理は予想以上に大変でした。もっと早く話し合えばよかったと思っています」
「残す」ことが、必ずしも子供への贈り物にならないことがある。これは統計が示しているし、実際の声もそう言っています。
もし本当に子供のためを思うなら、一度率直に「実家をどうしてほしいか」を聞いてみることが最初の一歩です。「売ってくれていい」「現金で残してほしい」という答えが返ってくることは、実は珍しくありません。
そして、相続する前に自分の意思で売却してしまえば、子供は「管理の苦労」なく「売却代金の一部」を受け取れます。「家という形」ではなく「お金という形」で残すことが、実は一番の親孝行になることがあります。
美濃加茂市の実家、子供への影響も含めてご相談ください
太田町・古井町・加茂野町・蜂屋町・山之上町など美濃加茂市全域対応。「子供に残すべきか売るべきか」という段階からご相談いただけます。ご家族皆さんでの相談も歓迎しています。
滝田 謙介(空家パートナー代表)
宅地建物取引士:岐阜県知事免許(1)第5381号
(公社)岐阜県宅地建物取引協会 東濃支部
30,000件以上の空き家問題を解決してきた「空き家買取のプロ」。他社で断られた困難物件の再生にも積極的に取り組んでいます。