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まず、「10年後も今と同じように売れるのか」という点を考えるため、土岐市の人口を見てみます。
土岐市が公表している人口統計では、平成27年の人口は59,970人でした。
その後、令和2年には57,487人、令和6年には54,328人、令和7年には53,622人まで減少しています。
土岐市の人口推移
・平成27年:59,970人
・令和2年:57,487人
・令和6年:54,328人
・令和7年:53,622人
平成27年から令和7年までの10年間で、人口は約6,300人減少しています。
もちろん、人口が減ったからといって「土岐市の家がすべて売れなくなる」という話ではありません。
土岐市内でも、駅への距離、道路状況、土地の広さ、建物の状態、周辺環境などによって不動産の需要は大きく違います。
ただし、購入する人の母数そのものが減っていけば、「売りたい人」と「買いたい人」のバランスは変わっていきます。
今なら購入を検討する人がいる家でも、10年後に同じ条件で売れるとは限りません。
「10年後も同じ価格で売れる」とは限らない
人口減少だけでなく、建物の老朽化も進みます。
今は築30年の家でも、10年後には築40年です。さらに空き家として放置されれば、屋根・外壁・水回り・庭木などの状態も変わります。
つまり、時間が経つほど「買い手が減る可能性」と「建物の状態が悪くなる可能性」が同時に進むことになります。
土岐市だけの話ではありません。
国土交通省が公表した「令和6年空き家所有者実態調査」では、現在空き家となっている住宅の取得経緯として「相続」が57.9%と最も多くなっています。
さらに、相続によって空き家を取得した世帯のうち、相続前に特に対策を講じていなかった割合は77.0%でした。
令和6年空き家所有者実態調査
・空き家の取得経緯「相続」:57.9%
・相続前に対策を講じた:23.0%
・相続前に対策を講じていない:77.0%
・相続前に対策をしていない空き家は、対策をしていた空き家より「空き家のまま所有され続ける」割合が約1.5倍
この数字から見えてくるのは、「相続が発生してから考える」のでは遅くなりやすいということです。
親が亡くなったあと、兄弟で「この家どうする?」という話を始めても、全員が同じ意見とは限りません。
「長男が持てばいい」
「売ればいい」
「思い出があるから残したい」
「でも自分は土岐市には住んでいない」
こうした話がまとまらないまま、実家だけが空き家として残ってしまうケースがあります。
重荷① 住まなくても固定資産税はかかる
相続した家に子供が住まなくても、所有している限り固定資産税などの負担が発生します。
土岐市の固定資産税率は1.4%、都市計画税率は0.3%です。実際の税額は土地・建物の評価額や住宅用地の特例などによって決まります。
「誰も住んでいないから税金もかからない」ということではありません。
重荷② 管理のために土岐市へ戻らなければならない
子供が名古屋市や愛知県内などに住んでいる場合、実家の管理は「ちょっと見に行く」だけでも負担になります。
・庭木や雑草の確認
・雨漏りや外壁の確認
・郵便物の確認
・水道や電気の確認
・不法侵入や不審者の確認
・台風や大雨の後の確認
これを年に何度も続けることになります。
重荷③ 「売りたい」と思った時にすぐ売れるとは限らない
空き家になってから数年経過すると、建物の状態が悪くなっていることがあります。
「親が亡くなった直後ならまだ使えた家」が、数年後には雨漏り・害虫・庭木・設備故障などの問題を抱えていることもあります。
さらに、古い建物では「建物を使うのか」「解体して土地として売るのか」という判断も必要になります。
重荷④ 兄弟姉妹がいると話し合いが必要になる
相続人が複数いる場合、「家を誰が取得するのか」「売るのか」「残すのか」を決める必要があります。
不動産は現金のように簡単に分けられません。
そのため、「長男が家を相続する代わりに他の兄弟へ現金を渡す」といった調整が必要になる場合もあります。
これは「家を売るべき」という単純な話ではありません。
子供が将来その家に住むのであれば、残す意味は十分にあります。
しかし、子供が住む予定もなく、管理もできず、将来的に売却する可能性が高いのであれば、「なぜ今売らないのか」を一度考えてみる価値があります。
実家を相続した場合、以前は相続登記をしないまま放置されるケースも珍しくありませんでした。
しかし、令和6年4月1日から相続登記が義務化されています。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが原則として必要です。正当な理由なく義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
相続した実家を放置すると「管理」だけの問題ではない
・相続登記が必要になる
・固定資産税などの負担が続く
・建物の劣化が進む
・庭木や雑草などの管理が必要
・売却時に相続人同士の話し合いが必要になる
・時間が経つほど相続人が増えて権利関係が複雑になる可能性がある
「まだ売るつもりはないから登記もしなくていい」と考えるのは危険です。
家を残す場合でも、誰が相続するのか、将来的にどうするのかを早めに決めておくことが大切です。
「今は売らず、子供に相続してもらってから売ればいい」と考える方もいます。
ここで知っておきたいのが、相続した空き家を売却した場合に一定の要件を満たせば利用できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」です。
この制度は、一定の要件を満たした相続空き家について、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
ただし、誰でも無条件に使えるわけではありません。
対象となる建物の条件、相続後の利用状況、売却期限、耐震基準や建物の取り扱いなど、細かな要件があります。
「3,000万円控除があるから、とりあえず相続」は危険
税制上の特例には期限と条件があります。
「相続してから考えよう」と何年も放置した結果、建物が傷み、売却条件が悪くなったり、税制上の要件を確認し直す必要が出てきたりすることもあります。
売却を考えているなら、相続前の段階から税理士や不動産会社などに確認しておくことが重要です。
土岐市では、空き家の売却・賃貸を希望する所有者と、購入・賃借を希望する人をつなぐ「空き家バンク制度」も用意されています。
実際に現在も、曽木町・駄知町・肥田町・泉町・妻木町・下石町などの物件が空き家バンクに掲載されています。
これは、空き家を売却する際の一つの選択肢です。
ただし、空き家バンクに登録すれば必ずすぐ売れるわけではありません。
築年数、立地、建物状態、土地の形状、接道、残置物、修繕費などによって、買い手が見つかるまでの期間は変わります。
「一般の買主を探す」のか、「不動産会社に買取してもらう」のかでも、売却までのスピードや手間は大きく違います。
親世代が考えてほしいこと
「子供に家を残したい」と思ったとき、ぜひ一度、子供本人に聞いてみてください。
・将来この家に住む予定はあるか
・土岐市に戻ってくる可能性はあるか
・固定資産税を負担できるか
・草刈りや建物管理をできるか
・兄弟で相続した場合、どう分けるか
・売却した場合は現金で残してほしいか
親が「残したい」と思っている家と、子供が「欲しい」と思っている家は、必ずしも一致しません。
家を残すこと自体が悪いわけではありません。
ただ、子供が使わない家を「とりあえず相続させる」という選択は、固定資産税、管理、相続登記、家財処分、修繕、売却など、さまざまな負担を子供世代に先送りすることになります。
だからこそ、「家を残す」だけではなく、「子供が困らない状態を残す」という視点も大切です。
土岐市の人口は長期的に減少しています。
一方で、全国的には相続をきっかけに空き家が発生しており、相続前に家族で話し合った世帯のほうが、その後の空き家放置を減らせることも国の調査で明らかになっています。
だからこそ、実家がまだ普通に使える状態のうちに、「この家を10年後、20年後どうするのか」を考えることには意味があります。
土岐市の実家について、こんな段階でもご相談ください
・まだ元気だけど、将来家をどうするか考えたい
・子供は土岐市に戻る予定がない
・相続したら空き家になりそう
・家財道具が大量に残っている
・築年数が古く、普通に売れるか不安
・解体したほうがいいのか分からない
・兄弟で相続することになりそう
・売却した場合、いくらになるのか知りたい
・子供に家ではなく現金を残すことも考えている
「売ると決めてから相談する」のではなく、「売るか残すか迷っている」という段階で査定を受けておくのも一つの方法です。
現在の不動産価値を知っておけば、「この金額なら今売る」「この家なら子供に残す」といった判断もしやすくなります。
特に、将来的に子供が住む予定のない実家であれば、親が元気なうちに整理しておくことで、相続後に子供が困る可能性を減らせます。
滝田 謙介(空家パートナー代表)
宅地建物取引士:岐阜県知事免許(1)第5381号
(公社)岐阜県宅地建物取引協会 東濃支部
30,000件以上の空き家問題を解決してきた「空き家買取のプロ」。 他社で断られた困難物件の再生にも積極的に取り組んでいます。